あらすじ
「うるさい!邪魔だっ、この役立たず!」
「お前のせいで私は不幸なんだっ!お前さえ産まなければ」
「私の視界に映るな!トイレットペーパーでも買ってこいよ!愚図がっ」
ヒステリックな母と二人暮らしをしている愛美麗(エミリー)。
母に睨まれ外に出たが、財布を忘れたことに気づく。
ああ、私って本当に無能だな。
行く当てもなく、近所の公園のブランコで寝入ってしまった。
目覚めると私は異世界にいて、両親と二人の兄が心配そうに私を見ていた。
「エミリー、良かった!先生が峠を越えたって…」
「神よ、感謝します。エミリーが生きていてくれれば、他は何もいりません」
どうやら私は病気で生死の境をさまよっていたらしい。
何ていい家族なんだろう。『生きていてくれればそれだけでいい』なんて、私も誰かに言われてみたいな。
「病気でずっと部屋に籠っているのは辛かっただろう。ようやく夢が叶うね」兄たちが私の左手を取って、ゆっくりと振った。
その言葉通り、嘘のように私は元気になっていった。
夢にまで見た、外出の日。
誰もが笑顔だった。
気づくと足元には、川が流れていた。滑らかに足首を触っていく。頭上は恐ろしい程に暗いのに、輝く星々が足元で私たちを照らしてくれるおかげで幻想的に感じる。
「おはよう、愛美麗(エミリー)」
目の前の少女は、とびきりの笑顔で私の名を呼んだ。金髪で緑の瞳をしている。あの家族と同じだ。
「おはよう、エミリー。…これで良かったんだよね?」
「そう!大正解!あなたのおかげ」
愛美麗(エミリー)を異世界に呼んだのは、エミリーだった。違う世界の、もう一人の自分。彼女が愛美麗(エミリー)にしてほしかったこととは?
たった七日間だけ入れ替わった二人の少女の物語。