あらすじ
長谷川部品株式会社――県道沿いにぽつんと建つ、創業五十年の中小企業。
「技術と誠実で未来を造る」と書かれた看板だけがやけにまぶしい。
そこに勤める青木真理(二十五歳・入社三年目)は、かつて“優等生”と呼ばれた女。
勉強も人付き合いも器用にこなしてきたはずが、社会に出た途端、歯車がかみ合わなくなった。
早く来い、気を利かせろ、笑え、空気を読め。
言われるままに動けば楽なはずが、気づけば息苦しさばかりが積もっていく。
コピー機の紙が切れただけで怒るおじさん。
社内で腕立て伏せを始める先輩。
飲み会で泣き上戸になる上司。
――ここはもはや動物園。
真理は、そんな職場の“珍獣”たちを観察しながら、
こっそり「会獣(かいじゅう)」と命名して日記をつけている。
紙待ちペンギンに、段ボール三島、ピンポン玉小田……。
笑うしかない日々のなかで、彼女は何を失い、何を取り戻すのか。
皮肉と諦め、そして少しの優しさで綴る、
社会の片隅の“元・優等生”の生存記録。
これは、ちょっと哀しくて、くすっと笑えるお仕事エッセイ風ストーリー。
(これは、フィクションです。たぶん。)