あらすじ
空に浮かぶ『聖都アカデミア』が、地上のあらゆる「意味」を徴収する西洋中世風の世界。人々は生存の代償として、大切な記憶や感情を文字として差し出し、心のない空虚な日々を歩んでいた。
北方の辺境、奪われた言葉が泥に沈むゴミ捨て場『バベル』。
そこで死んだ言葉を拾い集める「掃除屋」の青年・ルカは、ある日、全身を白い鎖で縛られ、五感のすべてを「徴収」された白紙の少女・アイリスと出会う。
「俺が、あんたの言葉になる」
自分の感覚をインクに変える呪いの万年筆を手に、ルカは決意する。
彼女が失った世界を、名前を、そして彼女自身の声を奪い還すために。
一文字綴るたびに自分を失い、一ページめくるたびに真実(アカデミア)に近づく。
彼らが綴る手帳が、最後の一行を書き終えるその時。
世界から零れ落ちた「ゴミ」たちの声は、神の沈黙を打ち破る福音となるのか。
これは、少しずつ人間を辞めていく(文字化する)孤独な男と、何も持たない少女が、自分たちの物語を奪い還すまでの、果てなき反逆を描いたダークファンタジー。
※本作はカクヨムにも同時掲載しています。