あらすじ
入国審査で問われるのは、国籍ではない。
あなたの過去だ。
………
観光に行くだけで、
SNS五年分とメール十年分を提出しろと言われたら、
あなたはどうするだろう。
それは遠い国の話じゃない。
すでに始まりかけている、
「記録で人を選ぶ時代」の話だ。
何を書いたか。
何を書かなかったか。
消したつもりの言葉まで含めて、
過去が点数に変わっていく。
二人の男は、
アメリカの入国規制と
ベネズエラのタンカー拿捕という
一見無関係な出来事を前に、
静かに推理を始める。
犯人探しではない。
なぜ国家は、人を減らそうとするのか。
なぜ「安全」という言葉が、
これほど息苦しくなったのか。
この物語が描くのは、
悪者ではなく、
選ばれなかった側の現実だ。
正しく生きても、
まじめでも、
それでも「行けない側」になる世界。
これは、
世界をそのまま信じないための物語。
そして、
あなたがまだ考える自由を持っているかどうかを、
そっと問いかける物語である。