あらすじ
王立魔術学院の卒業パーティーで、王子レオンハルトは婚約者である令嬢アイシャとの婚約破棄を宣言した。
理由は、彼女が別の令嬢を虐げていたという“証言”。それが虚言だと分かっているのはこの場においてレティシアだけだった。
目立つことを避け、才能を隠して学院生活を送ってきた彼女には、親友であるアイシャを助ける理由はあれど、この場にて声を上げる権利はない。
唇を噛み締めることしかできないレティシアは悔しそうにしていた。そのとき、知っている香水の香りと魔力の気配を感じた。
「手を貸そうか、レティ?」
ただの留学生だと思っていた青年のその一言が、彼女に選択肢を与えることになる。
レティシアが使ったのは、断罪のための力ではない。真実をそのまま“映す”ための、最小限の魔術だった。
これはレティシアの人生が変化する、ほんの小さな物語。