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リーゼは、本物の王女ではない。亡国の王女の影として育てられ、不要になれば切り捨てられるはずだった偽物の姫だった。 処刑台に立たされた朝、本物の王女は姿を消し、広場では無関係な人々まで命令に巻き込まれようとしていた。逃げれば自分だけは助かるかもしれない。けれどリーゼは、王女の名で嘘をつく。「私が王女です」と。 その嘘は、誰かをだますためではない。目の前の命を止め、消されかけた証を残し、命令書と封印と証人を守るための嘘だった。 王女の名を使った瞬間から、リーゼは人を守れる立場と、裁かれる立場を同時に背負う。信じる者は少なく、疑う者は多い。それでも、彼女が守った人と証だけが、少しずつ周囲の行動を変えていく。 血筋でも称賛でもなく、守った責任で「本物」に近づいていく。偽物の姫が、処刑台でついた嘘から人と証を守り始める王宮ファンタジー。
佐伯フーズグループ創立七十周年記念パーティーの壇上で、御曹司・鷹宮怜央は高らかに婚約破棄を宣言した。 婚約者である佐伯詩織を断罪し、真実の愛に生きると語る怜央。 しかしここは王城の夜会ではなく、現代日本の上場企業グループ創立記念パーティーだった。 会場には役員、主要取引先、取引銀行、報道関係者、広報部、顧問弁護士。 婚約破棄を叫ぶには、あまりにも現代日本すぎる場所である。 しかも怜央が「真実の愛の相手」として指名した秘書課の三浦七海も、そんな話は初耳だった。 婚約者を失った女と、次の婚約者にされかけた女。 本来なら憎み合う役を与えられるはずだった二人は、現代的な手続きと証拠保全のもと、同じ側に立つ。 これは、婚約破棄テンプレを現代日本でやってしまった御曹司が、法務と広報と防犯カメラに包囲される話。