あらすじ
公爵令嬢エルヴィア・ラングレイは、王太子ジュリアスから婚約破棄を告げられるたび、十五歳の春へ戻っていた。
一度目は、自分が悪かったのだと思った。
二度目は、伝え方を変えた。
三度目は、王太子を支えようとした。
四度目は、聖女ミリアを責めないようにした。
五度目から先は、泣くことも、怒ることも、黙ることも、証拠を集めることも試した。
けれど何度繰り返しても、最後には同じ夜会で、同じ断罪が始まる。
十度目の人生で、エルヴィアはようやく理解した。
これは、自分が変われば救われる話ではない。
皆が同じ過ちを繰り返すのを、ただ見届けていたのだと。
だから彼女は、最後の断罪劇で、もう誰も変えようとはしなかった。