あらすじ
※短編「私の死を待つ皆様へ」の連載版です
「君との婚約は、白紙とさせていただきたい」
王宮侍医に余命半年と宣告された侯爵令嬢セレナは、その日のうちに婚約者から解消を告げられた。
涙は出なかった。だって私、どこも悪くないんですもの。
私には、自分の身体の異常だけは勝手に視えるという地味な力がある。その力が、今は完全に沈黙している。つまりあの診断書は——嘘。
王宮侍医ともあろう者が、なぜ嘘の死刑宣告を?
私が死ぬと、誰が儲かるのかしら?
診断に異を唱えたのは、国境帰りの無骨な軍医ただ一人。彼の机には、私と同じ書式の診断書の束——その持ち主は、全員、予言どおりに死んでいた。
ならば私も、予定どおりに死んで差し上げましょう。ただし死ぬ日取りは、こちらで決めさせていただきます。
前世医者の知識と地味な力を武器に、嘘の余命を逆手に取った生き意地の張った令嬢が、自分の死で儲かる皆様に利息をつけてお返しする
——けれど、束ねられた診断書の影は、ひとつの屋敷では終わらない。
スカッとざまぁと、カルテみたいに喋る軍医殿の溺愛を少々。