あらすじ
かつて、世界は何度も始まっていた。
新作MMOが次々に生まれ、正式サービス開始の瞬間には、
誰もが等しく何も知らない場所に立たされていた。
黒崎創は、そんな世界を走り続けてきた。
最初に動き、誰も行かない場所を選び、
気づけば人が集まり、最前線が固定される。
――そういう勝ち方しか、知らなかった。
だが、走る世界は次第に減り、
やがて、始まる場所そのものが失われていく。
熱も、居場所も、残らないまま迎えたある夜。
現実世界に突如として“ステータス”と“スキル”が表示される。
世界は何も説明しない。
理由も目的も告げないまま、人々に選択だけを突きつけた。
黒崎に与えられたのは、《アーリーセンス》。
新しい環境で、後から取り返しのつかなくなる分岐を
直感的に感知する能力。
世界各地に現れる謎の“亀裂”。
多くの人が様子見を選ぶ中、
黒崎の胸だけが、強くざわついていた。
――もう、始まる世界はないはずだった。
それでも彼は、再び立ち上がる。