あらすじ
深海で目覚めた〈私〉は、理由も分からないまま「生き延びなければならない」という衝動に突き動かされていた。
目はなく、光も形も分からない。ただ、生命の重さだけを感じ取りながら、薄い場所を避け、濃いほうへと進んでいく。
やがて辿り着いた先で、〈私〉は違和感の正体を知る。
それは一点でも、群れでもない。
見渡す限り続く、圧倒的な生命力を宿した“場”――花畑だった。
見たこともないはずなのに、なぜか懐かしく、前から知っていたような感覚。
答えのない問いを抱えたまま、〈私〉は群生から少し離れた一輪へと向かっていく。
これは、深海で「知ってしまった」物語。
理解する前に、引き寄せられてしまった存在との、静かな遭遇。