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青野正は絶対味覚の持ち主だ。 調理師専門学校に入学した正は、秋田ハルと出会う。実習二日目、桂剥きの授業で正ほどでないにしろ、ハルの腕は確かだった。 最初はハルを敵対視していた正だが、やがてふたりは唯一無二の友人となる。 ハルの妹で拒食症のナツとともに、三人は料理に青春に忙しい。 正はただ、世界で一番美味しい料理を作りたいだけだった。 ハルも正も、自分が調理師になるのだと信じて疑わなかった――けれどハルは……? 卒業後の調理の現場の上下関係。やがてきたる震災、そしてハルとの再会。 生きるとは何か。食べるとは何か。 調理師・栄養士免許を所持する作者による食の物語。 ※後半に震災描写があります。この題材を描くにあたり、細心の注意を払っております。こちらに関しては当事者として、生半可な気持ちで扱ったつもりはありません。当時を思い出す方は、3章をお読みにならずにお進み下さい。
裁判所で偶然目にした青年の姿が、綿矢の心に深く焼き付いて離れない。 ――男でありながら妊娠し、恋人から「別れたい」と訴えられ、400万もの損害賠償を背負わされた青年。 涙で声を震わせ、「別れたくない」と必死に懇願する姿を、綿矢は忘れられなかった。 あのとき勝訴したのは自分の兄。だが誇りなど微塵もなかった。 ただ一人、理不尽に追い詰められた“森 蛍”だけが胸に残る。 そしてある日――階段で、ふぅふぅとお腹を押さえながら必死に買い物袋を抱える蛍と再会する。 ひとりで産むつもりなのか? あの苦しそうな体で、誰にも頼らずに。 放っておけるはずがない。 救えなかったあの日の答えを、今度こそ自分が取り戻すために。