あらすじ
貧乏伯爵家を救うため、報酬と引き換えに公爵家と「三年間」の『白い結婚』を交わしたリゼル。
夫・ナーバスからは初夜に「愛することはない」と断じられ、孤独な檻の中で三年間、完璧な公爵夫人を演じ続けた。
そんなある日、第一王子による辺境伯令嬢フィオレンティーナの「婚約破棄」を目撃したリゼルは、潔く自由へ飛び出す彼女の姿に感化され、長年張り詰めていた糸が切れる。
彼女は即座に屋敷へ戻り、未練の象徴だった数万の香水と数千のドレスを換金。離婚届を叩きつけ、ボロ雑巾のようなドレスを纏って王都の雑踏へ姿を消した。
だが、安宿に逃げ込んだ彼女の前に現れたのは、戦地にいるはずの夫・ナーバスだった。
「公爵夫人の務めを果たせ」と高圧的に連れ戻そうとする夫。
しかし、学園を主席で卒業したリゼルの頭脳は、冷徹に彼を突き放す。
「契約期間の三年間は、昨日付で満了いたしました。法的な拘束力は一分たりとも残っておりませんわ」
朝餉を捨て続け、香りにすら気づかなかった夫の「無関心」という名の瑕疵を論理的に暴き立て、リゼルは彼を過去の男として切り捨てる。
門の外で待っていたのは、かつての初恋の面影を残す商人ローランスと、一足先に自由を掴んだフィオレンティーナ。
「あら、意外と早かったわね。私たちの新事業、人手が足りなくて困っていたのよ」
捨てられた公爵家が彼女の不在によって崩壊していく中、リゼルは異国の地で、自らの知性を武器に新たな覇道を歩み始める。