あらすじ
2XXX年、日本の時代は大きく変わった。
日本古来より万物に宿るとされてきた八百万の神。
その神たちが、日本人の誰しもが持つ「苗字」に宿り、その字義に応じた超能力が発現する——山田は岩を砕き、小川は水を操り、鬼頭は鬼神の力で敵を屠る。日本はその日から超人社会へと変貌した。
そしてこの世界では、「神位」のトップの位に君臨する神童零によって制定された、苗字の能力によって社会的ランク「神位」「壱位」「弐位」「参位」「末位」の五段階が決まる「苗字階位法」が存在する。ランクは居住区・職業・日常生活のすべてを規定し、上位ランクの者が下位を支配する差別構造が社会に深く根付いている。末位の者は都市外縁の劣悪な区画に押し込められ、許可なく参位以上の区画へ立ち入ることすら許されない。
そして日本で最も多い苗字——「佐藤」の文字はどちらも戦いに向かない、力に向かない字。しかもこの国でこの姓をもつ者が一番多い。約一千九百万人に神の力が薄く薄く分散するが故に、一人ひとりに届く八百万の神からの恵みはほぼゼロに近い。
そのような理由で「無能」と他の苗字を持つ人から蔑まれ、制度上の最底辺に固定されていた「佐藤」の姓を持つ佐藤翔は果たして、底辺である「末位」から「神位」にまで成り上がり、苗字階位法を廃止することで劣悪な差別社会を変えることができるのだろうか。