あらすじ
俺、佐々木健一。元営業マン。 異世界に転生して三年、王都で商人として暮らしている。
この世界に転生者は珍しくない。 俺も時々、同じ境遇の人間と顔を合わせることがある。
でも最近、気になることがあった。
転生者互助会で出会う人の中に、「どこかで見たことがある顔」が何人もいるのだ。
名前も知らない。話したこともない。 それなのに、なぜか懐かしい。
大学生だった女性。定年退職した老紳士。高校生の少年。 全員が「あなたの顔にも見覚えがある」と言う。
俺たちの共通点は何だ?
記憶を擦り合わせるうちに、ある事実が浮かび上がってくる。
——同じ電車。同じ車両。同じ瞬間。
俺たちは、あの朝の七号車で隣り合わせていた。
前世では一言も交わさなかった他人。 それが今、名前を呼び合い、星を見上げ、味噌汁を分け合っている。
これは偶然か、それとも——
「縁」というやつか。
異世界転生×ミステリー×ほっこり。 読後、ちょっとだけ誰かに会いたくなる、そんな短編です。