あらすじ
「私、この部活辞めるから」
文化祭二週間前に軽音楽部のバンドメンバーが放った言葉がそれだった。
部活を自主卒業する部員に理由を訊く『彼女』は、その動機を聞いて唖然とする。
退部理由は『音楽性の違い』らしい。
音楽性の違いも何も、バンドを初めて一年と少ししか経っていない自分たちに、音楽性の違いなどという高尚なものなど存在しない。
そもそも、彼女とその友人である凜と春美が軽音楽をしているのも『長期休暇をとっている先生に、文化祭でバンドの演奏を聴いて貰う約束をしている』というだけのものだった。
その約束の中には、部活を自主卒業する生徒は頭数には入っていなかったのだ。
元々三人でライブをする予定だったのに、彗星のように現れ流れ星のように消えていく部員に、彼女は『ユダ」と名付け、ユダを見送る。
彼女達三人は、二週間以内に代理のメンバーを見つけ、文化祭までに演奏する曲を形にしなければならない苦境に立たされる。
彼女と二人の友人は、四人目のメンバーを探して奔走する。
そんな中、『彼女』は屋上にある廃屋に引きこもっている『僕』が弾くギターを偶然耳にし、『僕』を助っ人として勧誘しようとするが、ゴリゴリの引きこもりである『僕』は『彼女』と会話すらしない徹底ぶりだった。
彼女は最終手段として、文化祭で演奏する曲を通じて『僕』と意思疎通をはかる暴挙に出る。
屋上の廃屋ごしに音で意思疎通する『彼女』と『僕』はなんとか文化祭のライブステージを成功させるまでこぎつける。
そんな廃屋の壁より薄っぺらい二人が紡ぐメロディーの物語。