あらすじ
「当たった、当たった、当たってるにゃ!」
猫人族《ケットシー》の黒い毛をした青年ミャオは、いつもの早朝に、新聞の宝くじの一面を見て歓喜した。
【五億円】
これはマタタビの成る樹を七十万本伐採しても、まだ、すこし足りない金額である。また、七歳のミャオにとって、残りの寿命十三年を費やしても到底届くはずのない金額でもあった。
「で、でも、これで――」
あの憧れだった白猫のミィちゃんを迎いに行ける。
白猫のミィ。それはこの街でも一番の美猫と噂される子で、ミャオの幼馴染でもあった。しかし、一生に一度しか受けることのできない試験『チュール選別資格試験』に落ちたことをきっかけに、白猫ミィちゃんとは疎遠になってしまい、それ以降というものミャオが彼女と会うことはなかった。
(今ならあの子を迎いに行ける。あの子とよりを戻すチャンスにゃ!)
しかし、白猫ミィちゃんを迎えにいくためにも、最低限のステイタスを持っていなければそっぽを向かれてしまう――かもしれない。そんな考えが頭の中で巡り巡って、高級外車のカタログを片っ端から取り寄せはじめたころ、ふいにインターホンが鳴った。
ピン、ポーン。