あらすじ
王都で兵站参謀を務めていたアルシャールは、前線で眠り込んだ臆病者として軍法会議にかけられ、辺境の町ルクスグレイにある白銀騎士学校へ校長代行として左遷される。だが彼が戦場で眠ったのには理由があった。古い時計の力で周囲の時間を止め、退却路を作り、兵を生かした反動で倒れていただけだったのだ。
着任先で待っていたのは、止まった巨大掛け時計、借金まみれの帳簿、閉ざされた教室、そしてたった一人で学校を守っていた事務官ジェシー。着任したその夜、地下迷宮から魔物があふれ、町の住民が危機にさらされる。アルシャールは中央塔の時計を使って時間を止め、ひとりで住民を避難させるが、最後は黒板の前で眠り込んでしまう。
そこから彼は、食堂を再開し、教室を学び直しの場へ変え、迷宮の浅層を安全化し、石工や治療師や没落貴族の青年や半人狼の娘たちと手を組みながら、廃校同然だった校舎を町の拠点へ変えていく。やがて学校の閉鎖に絡む不正と、地下迷宮深部で町の時間そのものを蝕む迷宮核の存在が明らかになる。誰か一人の無理で支えるのではなく、役目を分け合い、休む勇気を認め合いながら、止まっていた町の人生を動かしていく再生の物語。