あらすじ
壁の時計が、逆に回っている。
気づいているのは——俺だけだ。
3年前の夜、家族が消えた。
死んだわけじゃない。事故でも、病気でもない。
警察は3ヶ月で諦めた。世界は何事もなく続いた。
俺だけが、あの夜に縫い留められたまま。
ある夜、時間が歪んだ。
気づけば——3年前の台所に立っていた。
母の後ろ姿が、そこにある。
名前を呼ぼうとした、その瞬間。
引き戻される。
手の中に、紙があった。
見覚えのある筆跡で、一行だけ。
「まだ来るな」
書いたのは——未来の俺だ。
そのとき、少女が現れた。
現実から少しだけ浮いたような存在。
感情のない瞳で、まっすぐにこちらを見る。
「時計は、あなたを選んでいるの」
「復讐のためじゃない。もっと深い"何か"のために」
タイムリープじゃない。ループでもない。
これは——70年以上前から続く、繰り返しの記録だ。
消えた家族。残された白い花。そして古い記録に刻まれた、俺自身の名字。
何かが動いている。ずっと前から。
これは偶然じゃない。
70年前から——俺は、選ばれていた。