あらすじ
終戦直後、廃線の列車が勝手に動き出した。乗客は十三人、定員は十二。誰かを降ろさなければ前へ進めない。食料も燃料も、やがて心さえ取引される。救いを運ぶのか、罰を運ぶのか。灰に沈む世界の、残酷で温かな方舟譚。
主な登場人物
・凪(なぎ):元少女兵。15歳。判断が早く、負傷癖の残る左腕を庇う。
・機関士・御子柴:60代。無口だが規律に厳しい。列車の癖を知る。
・朝比奈:20代後半の女性。冷静沈着。「行き先」を知ると噂される。
・小山田:30代の元教師。倫理を拠り所にするが脆い。
・篠目(しのめ):脱走兵。生存最優先の現実派。
・由衣:若い母親。乳児を抱く。
・吉良:看護兵。包帯と記録帳を手放さない。
・ほか乗客数名(兄妹、老女、楽士など)
世界観・ルール
・定員12。13人乗ると列車は自動的に停止。誰かが降りる(あるいは「交換」が成立)で再始動。
・駅ごとに交換条件が違う。物資、燃料、時間、そして記憶や約束など目に見えない価値も対象。
・外は微細な灰が降り続き、長時間の徒歩は危険。線路沿いのみ相対的に安全。