あらすじ
魔王軍との五年に及ぶ戦いで、勇者アレンは一度も勝てなかった。
人間の中では最強――それでも魔王には届かず、前線はついに王国の門前まで後退する。
明日、魔王軍が王国へ侵攻する。
アレンは妻エリナと五歳の息子レアンに、自分が“足止め役”として戦い、もう帰れないことを告げた。
「弱くていい。泣き虫でもいい。
ただ……自分に正直でいろ。
そして、お母さんを悲しませるな」
家族との最後の夜を過ごし、
民の避難を見届けたアレンは、王国にただ一人残る。
生きたい。
息子をもう一度抱きしめたい。
妻を守りたい。
国民を救いたい。
弱き勇者は、それでも剣を握り、魔王軍へ立ち向かった。
そして――十三年後。
父の墓前で、少年レアンは父の剣を継ぎ、旅立つ。
弱かった勇者が命を賭して守った世界で、
今度は息子が魔王討伐を果たすために。