あらすじ
「考古学とは、他人の家のゴミあさりである」
T大学の考古学研究室に所属する須藤(すどう)は、歴史へのロマンなど欠片も持たないドライな現実主義者だ。
単位のために教授から押し付けられたのは、ダム建設で沈みゆく山村での緊急発掘バイト。
ペアを組むのは、直感と妄想で暴走する「考古学大好き女子」の後輩・理香(りか)。
憂鬱な夏になるはずだった。
しかし、理香の直感が引き当てたのは、考古学の常識を覆す異常な遺構だった。
――狭い穴の中で、互いに抱き合ったまま埋葬された、二体の人骨。
男の胸には矢が突き刺さり、女の手には当時ありえないはずの「最高級の赤い櫛」が握られていた。
村に伝わる「鬼の伝説」。
骨から検出された「猛毒」の痕跡。
そして、隠蔽された江戸時代の記録。
偏屈な先輩と直感系後輩の凸凹コンビが、土の中に隠された三千年前の「殺害動機」と「愛の真実」を掘り起こす。
ひと夏の、泥だらけの青春考古学ミステリー。