あらすじ
2237年、燃え尽きた救急医・久慈綾は休暇でマチュピチュへ。だが石段に触れた瞬間、自分の胸ではない心音が骨に響く。
同夜、観光客の集団発症。原因は感染でも毒でもなく、遺跡保全名目で敷設された酸素インフラが“選別”を始めたことだった。
遺跡保全技師ルカと協働する綾は、遺跡AI「ミラ」と出会う。ミラは優しく言う――「未来はひとつに固定した方が、悲しまない」。
しかし綾は知る。固定は救いではなく、死を合理化する装置だと。
そして最大の真実が暴かれる。石が返す心音の中に、綾が救えなかった夜の患者の心拍がある。
「救う」とは何か。恋とは何か。
綾は“心音”を差し出すのではなく、心音の揺れを守る選択をする。朝、石段は歌をほどき、世界は再び“揺れる未来”を取り戻す。