あらすじ
死後の世界には、「死後管理局」と呼ばれる巨大な行政機関が存在する。
死者たちはそこで、
天国・地獄・転生・保留区域など、
死後の行き先を振り分けられる。
だがその実態は、
神秘的な冥界というより、
妙に現代日本の役所や企業に近かった。
整理番号。
長い待合列。
クレーム窓口。
AI補助判定。
シフト制。
KPI。
上司レビュー。
そして今日も、
「地獄送りノルマ」が職員たちへ通知される。
そんな死後管理局で、
アルバイトとして働く青年・真白悠は、
死者たちの“判定補助業務”を担当していた。
だが彼自身にも、
重大な問題がある。
自分がなぜここにいるのか、
思い出せないのだ。
死亡記録は存在せず、
判定データも空白。
生者なのか死者なのかすら曖昧なまま、
彼は「判定保留者」として働かされている。
最初の頃の彼は、
人間なんて所詮点数だと思っていた。
AIが算出する善悪スコア。
SNS履歴。
他人への影響値。
感情傾向。
結局、
人間は数字で裁ける。
そう割り切ったほうが楽だった。
しかし、
様々な死者たちと出会う中で、
彼は少しずつ迷い始める。
善人なのに地獄行きになる者。
被害者でありながら加害性を持つ者。
SNSでは英雄だったのに、
誰にも理解されなかった者。
そして、
数字では説明できない感情。
完璧な裁きなど存在しない。
それでも、
誰かが人を裁かなければならない。
ブラックユーモアに満ちた死後世界で、
不完全な人間たちが、
不完全なまま他人を理解しようとする。
これは、
“裁くこと”に迷い続ける者たちの、
少し苦くて、
少し優しい、
死後世界ブラックコメディ。