あらすじ
13.8億年前、無は歌った。
ビッグバンの叫びが宇宙を産み落とし、星々が死に、重元素を撒き散らし、太陽と地球が生まれた。
暗黒の原始の海で生命が芽生え、38億年の孤独な進化の果てに、人類は星空を見上げて問いかけた。
「なぜ、私たちはここにいるのか」
その答えは、地球だけにはなかった。
82光年彼方、赤色矮星の周囲に浮かぶ惑星エデン-9で生まれた異星文明ルミナスは、38億年にわたり地球を静かに見守り続けていた。彼らは優しい「兄」のように、人類の成長を温かく見つめていた。
さらに遠く、故郷の銀河を失った平和的な集合意識アマルガム――水銀のように美しく流動する銀の群れ――が、崩壊の危機から逃れ、新しい「繋がり」を求めて漂着しようとしていた。
そして、ビッグバン直後の高密度時代に生まれた原始宇宙生命体コズミックレヴィアサンが、ゆっくりと目覚め始めていた。
天文学者・星野燈は、JWSTが捉えた異常信号をきっかけに、運命の渦に巻き込まれていく。
38億年の孤独を背負った彼女は、異星文明との出会いの中で「個として生きること」と「全てと繋がること」の間で激しく揺れる。
宇宙規模の天災、量子タイムマシンによる過去への介入、多様な文明の交錯と共生——。
これは、宇宙の誕生から生命の起源、そして銀河を揺るがす出会いと選択を描く、
壮大なハードスペースオペラ。
孤独は、宇宙のデフォルトではなかった。
ただ、時間がかかっただけだ。