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朝焼けが、崩れた街を淡く照らす。 スコープの向こうは、いつも静かだった。 血も声も、命のぬくもりも――全部、遠くにある。 時雨。コードネーム〈リリィ〉。 かつて「守りたい」と願った男を、いま狙っている。 撃てば終わる。撃たなければ、もっと終わる。 それだけの世界で、彼女はまだ引き金を離せない。 心に焼きついた師の声。 撃たれた少女の微笑み。 そして、裏切りの果てに残ったひとつの祈り。 ――白い朝に、火薬の匂いがした。 それは、彼女がまだ人間だった頃の記憶。