あらすじ
リディア・アークライトは、誰の記憶にも残らない少女だった。
名簿では飛ばされ、班分けでは余り、声をかけてもすぐに忘れられる。
母がくれた黒い石の首飾りだけが、自分がここにいる証だった。
だが、その首飾りが外れた夜、眠っていた力が暴れ出す。
世界はようやく、彼女を見つけてしまった。
リディアの母は、かつて世界を救った大魔法使い。
そして境界の向こうから、声が届く。
「大魔法使いの娘を、差し出せ」
守るとは、隠すことなのか。
平和とは、誰かの苦しみを見えない場所へ押し込めることなのか。
見つけられなかった少女が、見えない者たちの声を聞き、自分の意思で世界の前に立つ。