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福岡県の田舎町に住む高校生、清水瑠衣(しみず るい)は、毎朝5時40分発の始発列車に乗って通学している。 早朝の静寂と孤独な時間を愛する彼の日常は、いつも同じ時間に、同じ車両に乗り合わせる唯一の人物、冴季玲花(さえき れいか)の存在によって彩られている。 ある日を境に、二人は自然と隣同士に座るようになった。玲花の好きなファンタジー小説の貸し借りなどの交流は、瑠衣にとって一日で最初に会う人との大切な時間となる。 早朝の列車という限られた空間から始まった二人のささやかな日常があった。 しかし、<とある病>がきっかけで二人は「隣」について深く考えるようになる。 「隣」というキーワードを元に進んでいくこの物語が行き着く結末は…
「私、起立性調節障害なんだ」 その言葉を聞いたとき、藤原悠真は理由を一つ手に入れた気がした。 高校生活の中で、少し不器用だけど優しい悠真は、白石結菜のそばにいることを選ぶ。 教科書を運ぶ手や体育祭の準備、日常のささいな瞬間にさりげなく寄り添いながら、二人は少しずつ距離を縮めていく。 しかし、体調の急変や連絡が途絶える時間は、二人の間に静かな不安を生む。 それでも、再会の瞬間や一緒に歩く時間の中で、理由が言葉にならなくても、互いの存在が支えになっていることを感じるようになる。 冬の街並みを一緒に歩き、同じ速さで笑い合う日々。 理由を完全に知ることはできなくても、隣に立つことの意味を、二人は自然と受け止めていく。