あらすじ
大学に入れば、もっと自由で、もっとキラキラした生活が待っている——
そんな淡い期待を胸に、航平は東京の駅に降り立った。
しかし、その希望は寮へ向かう途中、あっけなく裏切られることになる。
東伏見寮。
そこは、大学が用意した“学生寮”という建前とはかけ離れた、
ある種の 自治国家 のような場所だった。
寮生たちの生活の中心は、談話室。
そこでは、昼夜を問わず麻雀牌が打ち鳴らされ、
焼酎の匂いとスナック菓子の粉が空気に混ざっている。
そして、いつどこで誰が言い出したのか定かではない「伝統」が受け継がれ、
現代では絶滅危惧種となった 昭和のノリ が息づいていた。
——どうやら、この寮は普通じゃない。
昭和の香りが色濃く残る平成初期の大学生の
どこか滑稽で、しかし妙に人間臭いこの寮で、
繰り広げられるコアな大学”寮”生活。
航平はまだ知らなかった。
これから始まる日々が、
大学生活のすべてを、そして自身の人生を決定づけるほど
濃密だということを。
ここから、航平の“東伏見寮物語”が始まる。