あらすじ
勇者一行の補佐官だった俺は、
王太子の婚約契約にある“致命的な不備”を指摘したという理由で、静かに追放された。
剣も権力もない。
あるのは、書類を読む力だけ。
消される前に辿り着いた闇市で、俺は一人の奴隷と出会う。
銀髪に冷たい瞳を持つ元貴族令嬢・レイナ。
彼女は、その婚約の“当事者”だった。
俺が差し出したのは、首輪ではない。
条件付きの契約——
危害禁止、発言権の保証、目的達成後の解放。
欲しいのは従属じゃない。
証言だ。
役所で突きつけられたのは、たった一行の事実。
「その婚約は、同意が成立していない」
そして——
王太子の名前は、婚約者欄から静かに消えた。
これは、力のない人間が
「ルールを知っている」だけで、
世界の“当然”を無効化する話。