あらすじ
名を持たぬ少年が、名を奪われた世界で剣を振るう。
――これは“誰のものでもない魂”の物語。
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雪の降る朝、名もなき少年は“剣”だけを抱いて門の前に立っていた。
過去はない。名もない。感情すら、どこか欠け落ちている。
ただ、彼の呼吸の奥には――“斬ることを知っている者”だけが持つ静かな深淵があった。
やがて道場に迎えられたその少年・沖田静は、流派にも型にも属さぬ奇妙な剣を振るう。
動けば風のように消え、構えれば影のように立ち、誰よりも強いのに、誰よりも祈るようだった。
「あなたの剣は、何のためにあるのか」
そう問われても、静は答えられない。
その掌には、誰かを斬った重さも、誰かを守った温度も、思い出として残されていないのだから。
だが、噂は山を越えて広がり、やがて“白い少年剣士”は軍の目に留まる。
名なき者は、国家が最も欲する“影の剣”となる。
反抗も拒絶もできぬまま、彼の歩みは戦場へ向けて、静かに、確実に進んでいく。
名を持たない少年が、名を持たぬまま戦う理由とは何なのか。
その剣に宿るのは、祈りか、後悔か、それとも――未来か。
「名を呼ばれぬまま生きる者」の魂を描く、静謐で残酷な剣士叙事詩。
雪のように淡く、血のように深く、あなたの胸に残る物語。