あらすじ
[韓国で実際にあった、ある冬の日の記憶をもとに綴った物語です。]
大学の講義室で出会った、若き文学教授と女子学生。
始まりは、落とした一本のペンだった。
何も言わず拾い上げる彼の手。
触れない距離。交わされない言葉。
けれど90分の授業のあいだ、彼の視線はいつも私のすぐそばにあった。
それは偶然だったのか、それとも――。
やがて冬が訪れ、試験の季節が来る。
「この場面で大切なのは、何を選んだかではなく、何を言わなかったかです。」
彼のその言葉は、私の胸の奥に静かに降り積もっていった。
掲示板に貼り出された成績。
括弧の中に添えられた、たった一文。
誰にも言えない想いを、私は「括弧」の中に閉じ込めた。
あの時、伝えられなかった言葉は、今もまだそこにありますか。
過去と現在が静かに交差する、触れない距離で紡がれた大人の純愛。