あらすじ
紀元前五〇三年。衛の商家の跡取り息子で一七歳の子貢は、旅先の魯で孔子と出会う。いつか家業の店を中原一の大店にしたいと話すと、「中原一の大店になったとして、その後はどうするんだい? そもそも何のために店を大きくしたいんだい?」と聞かれる。そんなことを考えたこともなかった子貢は、その答えを見つけるため孔子に弟子入りした。その答えが見つかるまでの二十年とその後の十年。師と兄弟子たち、特に、快男児の子路・優等生で好青年の冉求・秀才の顔回との関わり合いや、様々な経験を通しての子貢の心の旅のものがたりです。
高校時代に愛読した中島敦の『弟子』と、それがあって中年になって読んだ井上靖の『孔子』が念頭にあったため、六十代後半になって『論語』を読んでみました。すると突然ある情景が浮かんできて、これを題材にものがたりを書きたい! なんて無謀なことを思ってしまいました。そこで一念発起。『春秋左氏伝』などの関連本やインターネットなどでいろいろ調べ、井上靖の『孔子』の子貢像をベースに書いてみました。ですが何と言っても、高校時代に中島敦に出会ったことが切っ掛けですので、中・高生のみなさまにも読んでいただければうれしいです。