あらすじ
「神様、普通の顔でいいって言ったのに……極端すぎんだろ!」
前世、誰もが振り返る超絶イケメンだった瀬戸蓮(せと れん)。
しかし、その美貌は彼に幸せをもたらさなかった。
向けられるのは、女たちの狂信的な執着と、男たちの醜い嫉妬。
努力はすべて「顔のおかげ」と切り捨てられ、
最期は顔にコンプレックスを持つ暴漢に、
その「綺麗な顔」を呪われながら刺殺された。
薄れゆく意識の中で、蓮は切に願った。
次は、誰の目にも留まらない、
石ころのような普通の顔に生まれますように、と。
だが、運命の女神はあまりに悪趣味だった。
目覚めた場所は、剣と魔法の異世界。
泥にまみれた敗残兵バルドとして。
慌てて水たまりを覗き込んだ彼が見たのは、
「普通の顔」などではなかった。
——そこにいたのは、前世で自分を殺した犯人と瓜二つの、
最凶の『顔面凶器』だった。
ギョロリとした三白眼に、威圧感の塊のような体躯。
睨めば赤ん坊が泣き出し、笑えば熟練の騎士が抜刀する。
蓮は、望んでもいない「恐怖の象徴」へと転生してしまったのだ。
絶望に打ちひしがれるバルドの前に、一人の男が現れる。
王国最強の美青年騎士団長、アルベルト。
前世の自分を彷彿とさせる輝きを持つ彼こそが、生き別れの兄だった。
しかし、再会の喜びも束の間、
アルベルトは弟を守るために致命傷を負ってしまう。
「……ようやく見つけた、我が愛する弟よ。私のすべてを、お前に託す」
衆人環視の中、英雄である兄は死に際に、
一般兵にすぎないバルドを「王国最強の継承者」として
指名してしまった!
「いや誰だよ! 頼むから勝手に人生の損切りをしないでくれ!!」
中身はビビりな元イケメン。
見た目は死神より怖い顔面凶器。
バルドが辞退しようとすれば「謙虚を装う怪物」と思われ、
平和を願えば「嵐の前の静けさ」と戦慄される。
これは、顔のせいで人生を狂わされた男が、
その「最凶の顔」を武器に(本人の意図とは裏腹に)王国最強へと
強制的に成り上がっていく、勘違い爆走コメディである。
「いいか、俺はただ平穏に暮らしたいだけなんだ……!(血涙)」
「(なんて凄まじい威圧感だ……一生ついていきます、団長ッ!!)」