あらすじ
あらすじ
かつて世界は、空で繋がっていた。
巨大な世界樹から流れ出る「魔原」は、
飛空艇を浮かせ、
都市を灯し、
季節すら制御した。
人類は空を征服し、
海を越え、
繁栄の時代を築いた。
だが――
その力は、
星の命そのものだった。
世界樹ネットワークの崩壊と共に、
空は色褪せ、
精霊は消え、
灰雨が降り始める。
今では多くの空路が閉ざされ、
かつて栄えた空港都市は廃墟となり、
人々は静かに“終わり”を受け入れ始めていた。
そんな時代。
古びた中型飛空艇
《終航船ノア》は、
今日も軋む左翼を鳴らしながら空を飛ぶ。
若き機関士ユウトは、
「昔は青かった」と語る老竜人の航海士、
精霊を“現象”として研究するハーフエルフの学者、
罪を抱えた元帝国技師のドワーフ、
そして各地へ手紙を届け続ける獣人の郵便配達人たちと共に、
滅びゆく世界を巡る旅を続けていた。
彼らの目的は、
世界樹の異変を調査すること。
そして、
古代航路図の最果てに記された、
「最後の若木」
を探すことだった。
灰雨の港町。
歌を忘れた精霊の森。
砂に沈む採掘帝国。
風だけが吹く空港都市跡。
旅の果てで彼らは知る。
文明は、
星の命を燃やして生きていたことを。
もし世界樹を救えば、
文明は終わる。
もし文明を維持すれば、
星は死ぬ。
それでも人は、
空を飛ぶのか。
これは、
滅びゆく星で、
最後の航路を繋ごうとした者たちの、
静かな終末幻想譚。