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深夜のワンルーム。テーブルに並ぶのは、コンビニのショートケーキと茶碗蒸し。 甘さと出汁というちぐはぐな取り合わせの前に現れたのは、派手さはないのに視線だけで空気を歪める危険なボディの女だった。 「全部食べよう」――その一言で、食事と欲望、満腹と空虚の境界は溶け、夜はダブルベッドの上でほどけていく。 朝、残ったのは崩れたケーキの箱と空の茶碗、そして吐き出した自分。女は優しく背を撫でながら、空になっていく過程を静かに見つめる。 満たすために飲み込み、空になるために吐き出す。器が空く音だけが現実を刻む、不条理で奇妙な現代の短編。