あらすじ
11月の初め、雪がぽつぽつと降り始めた公園で、私は彼と出会った。あかり、16歳の私。家では父親の影がいつも怖くて、母親の疲れた笑顔が心を締めつける。学校では誰も近づかず、ひとりぼっちの毎日。でも、あの公園だけが、私の小さな逃げ場だった。
彼、悠太は、キラキラしたお坊ちゃまみたい。でも、心の中では親の敷いたレールに息苦しくて、自由を夢見てるって。雪のベンチで話すうちに、彼の優しさが私の凍えた心を溶かしていく。手をつないだ温もり、初めてのキスみたいなドキドキ。でも、惹かれるほどに不安がよぎる。私みたいな子が、彼に釣り合わないんじゃないか。周りの視線が痛い。父親の怖い面影を、彼の強くなる姿に重ねて、胸がざわつく。自分も母親みたいになってしまうんじゃないか、そんな思春期の揺れる気持ちが、恋を苦しく甘くする。
11月の終わり、両親たちの冷たい手が私たちを引き裂いた。あの雪の記憶は、溶けて消えそう。でも、心の奥に残る温もりが、私を変えていく……。この冬の恋は、涙で輝く、君だけの秘密みたい。