あらすじ
蒸気機関車の機関士だった祖父から「鉄道屋が誇るべきは速さではなく安全だ」と教えられて育った星竜司。
だが彼は、乗務中の人身事故をきっかけにPTSDとなり、運転士を降りて車掌として働いていた。
2004年春、竜司は会社から突然「中国への赴任」を命じられる。
目的は、日本の高速鉄道技術を中国へ供与するプロジェクトで、現地乗務員への教育担当として派遣されることだった。
契約では“国内限定使用”などの条件がうたわれているが、竜司はその約束が本当に守られるのか不安を抱く。
さらにライバル企業は技術供与を拒否していると知り、竜司の迷いは深くなる。
それでも竜司は、祖父の信念を胸に「安全運行の魂」を伝えるため、祖父の写真と形見のハンマーを携えて北京へ向かう――
しかし彼はまだ、この譲渡が“裏切りと簒奪”の始まりになることを知らない。