あらすじ
人類の生物学的進化は100万年以上もの間、停滞を続けている。
技術や社会環境が劇的に変化した一方で、人間の肉体は石器時代のままであり、この不均衡が現代社会に様々な歪みを生んでいる。
自然淘汰の圧力が弱まった今、人類がとるべき道は、科学技術を用いて自らの肉体と精神を意図的に再設計する「トランスヒューマニズム(超人間主義)」への移行である。
この新たな進化において、日本は世界を主導する重要な役割を担っている。
欧米に見られるような「人体改造への宗教的忌避感」が薄く、アニミズムやアニメ文化を通じて機械やAIとの融合に高い親和性を持っているからだ。
加えて、超高齢化社会という喫緊の課題が、身体拡張技術の実装を不可避なものにしており、日本こそが世界初のモデルケースとなる必然性がある。
トランスヒューマニズムは、個人の幸福と種の存続の両面において決定的な意味を持つ。
医療分野では、遺伝子編集によってがんや糖尿病といった「遺伝的運命」を克服し、単なる延命ではなく死の直前まで健康を保つことを可能にする。
また、宇宙進出においては、放射線や無重力に耐えられない現在の脆弱な肉体を改良することが、人類が多惑星種となるための必須条件となる。
私たちは今、自然任せの「ホモ・サピエンス」から、自らの意志で運命を創造する「ホモ・デウス」へと進化する歴史的な転換点に立っているのである。