あらすじ
二〇XX年。
日本は、海ではなく、死者と怪異の棲む《向こう側》に対して鎖国した。
霊的鎖国下のネオ江戸日本。
六道魔導学園は、魔導を学ぶ少年少女たちの学校であると同時に、地下に眠る巨大な異界門を封じる国家級の結界施設でもあった。
高等部一年の蓮田風彦は、青白い顔をした腹痛持ちの少年。
普段は「ござる」口調で頼りなく見えるが、その正体は公儀から学園へ送り込まれた見習い隠密であり、人ならざる血を引く祓魔術師だった。
ある放課後、風彦は同級生の稲葉茜と新垣アサミが行った召喚儀式の失敗に巻き込まれる。
鬼に追われ、逃げ込んだ先は北校舎三階の女子厠。
そこで風彦は、三番目の個室を三回叩く。
「華子さん、遊びましょう」
現れたのは、少女の幽霊ではなかった。
黒い着物をまとい、刀を帯びた妖艶な女剣士――厠の華子さん。
怪異を感じると腹を壊す少年と、女子厠に棲む江戸生まれの女剣士。
二人は茜、アサミ、六道雅琥とともに、学園七不思議に隠された事件へ踏み込んでいく。
だが、怪異事件の背後には、第七怪《顔のない卒業生》がいた。
それは、六道学園が長年隠してきた犠牲者たちの名前と記録から生まれた集合怪異。
その目的は、誰も卒業しない、誰も大人の世界へ出ていかない、永遠の学園を作ることだった。
守ることと、相手の人生を決めることは違う。
古い契約に縛られた少年少女と怪異たちは、自分の名前と生き方を選び直す。
ネオ江戸魔導学園怪異譚、開幕。