あらすじ
魔族領との境界にある“ありえない村”に辿り着いた勇者ユリウス。
そこに住むのは──魔王討伐を途中で諦め、国に戻らず逃げた 元勇者たち だった。
「理由は、魔族領に入れば分かる」
村長エルドに導かれ、ユリウスは魔族の村を目にする。
そこにいたのは、姿こそ違えど 人間と同じように暮らす家族たち。
怯える魔族の子供を見た瞬間、ユリウスは剣を握れなくなった。
しかし仲間のヴァイス、ノエル、ルカは無言で魔族を殺し始める。
彼らは王が勇者につけた 監視役 であり、
家族を人質に取られた“被害者”でもあった。
「頼む……魔王を倒してくれ。
倒さなければ、俺たちの家族が殺される……!」
真実を知ったユリウスは、魔王討伐を拒否し、王国へ戻る。
だが国王は彼を 反逆者 として捕らえ、処刑を宣告。
唯一ユリウスを信じた兵士の助けで脱走するが──
帰り着いた故郷の村は、すでに“処分”されていた。
家族も、村人も、皆殺し。
遺体は放置され、風に晒されている。
全てを失ったユリウスは、静かに剣を拾い上げる。
「……終わらせる。
この国の、この嘘を……」
勇者制度の矛盾に気づいた青年が、
真実のために国へと歩み出す物語。