あらすじ
大陸暦三四〇年。大公国の冬は、帝国が放つ魔力の白光に焼き尽くされた。 圧倒的な物量を誇る帝国軍を前に、不落の城塞は瓦礫の山へと変わり果てる。
最前線で「捨て石」としての任務に就くベテラン騎士マクシミリアンは、わずかな休暇に故郷の首都キルトセラスへ戻る。そこには、戦死した親友の妻であり、幼馴染でもあるルチエが営む酒場「紅の風車」があった。
死んだ親友の影に縛られ、ルチエへの想いを封じ込めてきたマクシミリアン。 だが、若者たちを死地へ送り出す愛国歌が響く店内で、彼は己が守るべきものの正体を知る。
「死んであいつに会いに行くのだけは許さない。貴方は全部私のものなんだから」
過去という亡霊を振り払い、生身の女の体温を掌に刻んだ男は、再び地獄の戦場へと舞い戻る……。