あらすじ
かつて愛したアニメの「原作知識」を持つ俺は、魔法少女と魔法生物が実在する世界に転生していた。しかし、俺が選んだ道はヒーローでも悪役でもなく、決定的なシーンを特等席で傍観する「究極の視聴者(オタク)」としての人生だった。
物語の舞台は、原作アニメ『魔法少女アリス』の第2期。ヒロインの有栖川時寧(アリス)は、激化する戦闘の中でボロボロに傷つき、絶望的な敗北の淵に立たされる。
ビル屋上からその光景を「覗き見」する俺は、彼女の苦痛に胸を痛めながらも、同時に「これこそが王道の負けイベント」「ここからの逆転こそが美しい」というオタク特有の悦びに震えていた。
介入できる力がありながら、あえて手を出さず、予定調和の「デバイス更新イベント」を息を呑んで見守る俺。しかし、現実となったこの世界は、少しずつ原作のシナリオからズレ始めていく――。
果たして俺は、美しくも残酷な「名シーン」を最後まで守り抜くことができるのか。それとも、その執着が物語を誰も知らない結末へと変えてしまうのか。