あらすじ
「呪われし魔術師」。
それは――
炎・水・氷・土・風・雷・光、そして闇。
数多ある魔法属性の中から、
ただ一つの属性しか扱えぬ魔術師を指す言葉である。
そして、その代償は重い。
他の属性を一切行使できぬ代わりに、
その唯一の属性は、常識の枠を軽々と踏み越え、
やがて“禁術”と呼ばれる領域へと至る。
極めて特異にして、異端。
――それが、「呪われし魔術師」。
あまりにも強大なその力を、
人々は理解するよりも先に恐れた。
やがて囁かれる。
呪われし魔術師の周囲には、必ず災厄が降りかかる、と。
その言い伝えは時代を越え、
いつしか真実であるかのように語り継がれていった。
魔獣の異常繁殖。
魔力暴走による国家の壊滅。
突如枯れ果てた大地と、終わらぬ飢饉。
空を覆い尽くす魔力汚染と、長き天変。
一夜にして消えた都市と、その痕跡すら残らぬ消失。
理を歪める魔法災害がもたらした、世代を超える呪い――。
説明できぬあらゆる不幸は、
いつしかすべて、彼らの存在へと結び付けられていく。
災厄が起これば、その背後には「呪われし魔術師」がいる。
証拠など必要なかった。
理解できぬ力を持つ者は、それだけで恐怖の象徴となる。
そうして彼らは歴史の表舞台から追われ、
闇の中へと押し込められた。
忌み嫌われ、追われ、
名を口にすることすら許されぬ存在として――。
そして、この物語もまた。
その「呪われし魔術師」と呼ばれる力を、
自らの意思とは無関係に宿してしまった者の発現から始まる。
望んだわけではない。
選んだわけでもない。
ある日、ただ突然に。
それが祝福なのか。
それとも、避け得ぬ破滅への第一歩なのか。
まだ、誰も知らない。
だが一つだけ確かなことがある。
その力が目覚めた瞬間から――
運命は、静かに軋み始めたのだ。