あらすじ
誰かの代わりに作られた少女は、ゼロから自分の名前を選び直す。
旧東京が死都と化し、神奈川全域が魔導科学都市《帝都エデン》へ再編された時代。
女帝ヌルの支配するこの街には、魔導炉、機械人形、結界、ワルキューレ、裏社会、そして人々の記録を喰らう怪異が存在している。
少女型機械人形アリスは、凄腕の魔導士マナに保護されている高位自律人形。
礼儀正しく、静かで、丁寧。
だが、その体内には高密度の魔導回路、戦闘兵装、記録核、そして封印されたもうひとつの人格――零式人格が眠っていた。
帝都を揺るがした大事件の後、アリスは深刻な損傷を負い、記録核に異常を抱える。
社会適応テストとして与えられた仕事は、都外から来た少年を案内する観光ガイド。
それは、ただの職業訓練のはずだった。
しかし、ツインタワーで発生した怪事件をきっかけに、アリスは「名前」と「存在証明」を奪う都市怪異マッドイーター、闇の子を信奉する組織D∴C∴、そして自分の原型とも呼ぶべき空白の記録《ALICE-00》へと近づいていく。
セーフィエルは、なぜアリスを作ったのか。
零式人格は、本当に不具合なのか。
自分の感情は、命令なのか。
それとも、自分自身のものなのか。
「わたくしは、誰かの代わりなのでしょうか」
作られた少女は、与えられた役割を越え、命令ではなく自分の意思で守ることを選ぶ。
これは、誰かの器として生まれた機械人形が、ゼロから自分の名前を定義し直す物語。