ページ:1(1件表示) / タグ一覧へ
魔王国は敗れた。戦争のあと、国は瘴気に沈み、人間の軍勢も長く留まることはできず撤退した。 そこに残されたのは、荒れ果てた土地と、ただ一人の魔王だった。 魔王は城に戻らず、村にも降りず、ただ一人で畑を耕し始める。水路を直し、井戸を掘り、崩れた田を少しずつ戻していく。誰もいない国で、それでも季節だけは巡っていた。 かつてこの土地は、人間には扱えないほど豊かだった。しかし今、その豊かさを知る者はほとんど残っていない。 魔王が耕すその先に、戻るべき“民”は本当にいるのか。それとも、この国はすでに終わっているのか。