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篠原美和、三十代後半。 介護施設でケアマネジャーとして働きながら、 「このまま一人で生きるんだろうな」と、 なんとなく思っていた。 若さも勢いも過ぎた今、 恋愛は面倒で、結婚は現実的じゃない。 それでも、毎日聞くのは 高齢者たちの人生の話だ。 結婚しなかった人。 若くして結婚し、別れ、もう一度選び直した人。 最後まで寄り添い合った夫婦。 介護という仕事の中で、 美和は否応なく「自分の五十年後」を突きつけられていく。 年下の同僚との気楽な関係。 考えなくていい距離を保ってくれる大人の男性。 そして、生活を静かに支え続けてきた年上の理学療法士。 誰かを選ぶことよりも、 選ばないまま慣れてしまうことの怖さを知ったとき、 美和は初めて、自分の未来を見つめ直す。 これは、 恋に焦がれる物語ではない。 「誰と、どんな時間を生きるのか」を、 ゆっくり選び直していく物語だ。
「期待しなければ、傷つかない」 一度、結婚を決断されなかった過去から、 白石由依(34)は恋をしない選択をして生きてきた。 新しい職場で出会ったのは、 優しくて、踏み込まなくて、 なぜか一緒にいると安心できる男・高瀬。 連絡が増えただけ。 一緒にいる時間が増えただけ。 名前で呼ばれることに慣れただけ。 これは恋じゃない―― そう言い聞かせながら、 由依は少しずつ、期待してしまう自分に気づいていく。 一方、高瀬もまた、 「選ばなかった過去」を抱え、 もう一度誰かを選ぶことから逃げていた。 期待しない女と、選ばない男。 すれ違い続けた二人が、 最後に辿り着く“選択”とは――。