あらすじ
公爵令嬢クラリスは、公開の場で断罪された。
王太子レオンハルトは罪状を並べ立て、「婚約破棄した“つもり”」で勝ち誇る――けれど。
宣言はしていない。
王の許可も下りていない。
つまり、婚約はまだ生きている。
“つもり”で世界が決まるなら、誰も苦労しない。
クラリスは泣かず、騒がず、ただ淡々と記録を取り、穴だらけの命令書と粗だらけの手続きを逆手に取る。
雑で短絡的な王太子が振り回すほど、矛盾は増え、証拠は残る。
神殿が二大派閥に割れ、熱病が広がり、祈りすら弾かれ始めたとき――
「誰が、何のために」盤面を崩したのかが見えてくる。
婚約が生きている限り、王太子も王家も、クラリスを“都合よく”切り捨てられない。
※本作には、物語上「聖女の泣き落としに屈しない男性」の描写や、BLを匂わせる表現が含まれます。
登場頻度も高いため、苦手な方はご注意ください。
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主要人物
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◇クラリス
理性と記録で世界と戦う公爵(悪役)令嬢。
感情的に見える場面でも、必ず「残す」「確かめる」「正当性を作る」を忘れない。
誰かを庇う時ほど冷静で、怒る時ほど静か。
周囲からは強く見えるが、実は「守るべきもの」を一番明確に決めている人物。
◇ルーカス
規律と秩序の人。
感情よりも手順を信じ、私情を挟まないことを美徳とする。
その分、他人の感情に鈍いようでいて、
一度“線を引いた相手”は、最後まで見捨てない頑固さがある。
沈黙は不理解ではなく、判断保留の時間。
◇レナート
理性の塊であり、同時に感情の沼。
「医師」「責任」「線引き」を盾にして、自分の気持ちから最も遠ざかっている人。
大切なものを守ることには長けている。
“選び続ける覚悟”だけは、誰よりも重い。
誰をも魅了する容姿だが本人は興味がない。
◇ロウ(ローワン)
観察者であり、生存者。
自分の傷や過去を軽く扱うことで、場を前に進める癖がある。この国では珍しい赤毛、出自や能力は謎。
一見無鉄砲だが、人の境界線を読む力が非常に高く、
誰がどこまで踏み込めるかを直感的に理解している。
◇灰の司祭
帳簿と現実を見る人。
善悪よりも「結果」と「回収」を優先するが、
見捨てることと切り捨てることの違いを正確に知っている。
感情を言語化せず、事実として整理することで人を救うタイプ。
目元以外は全て隠している。