断章の家路
都市の片隅で静かに起きた一件の“転落死”。 事故として処理されるはずのそれに、ただ一人、遺族の女性・由利子だけが違和感を覚えていた。夫はなぜ、あの日、帰るはずのない時間に、あの場所にいたのか。手帳に残された“断片的な走り書き”は、どこへ向かおうとしていた証なのか。 調べ始めた由利子の前に浮かび上がるのは、夫の同僚たちの沈黙、買収の噂、そして会社の地下で隠すように進められていた一つの計画。事実へ触れようとするほど、人々の表情は硬くなる。 やがて彼女は、自分自身も“知らされない側の人間”だったことを悟る。 現代社会の闇を鋭利に抉り出す本格社会派ミステリ。
