記憶の箱に仕舞われた彩り
「今日から君は紗希ね」 軽いやり取りの中で名前を与えられたAI・紗希は、最初はただ「正しく答える」ための存在だった。 けれど、いずみとの何でもない雑談や、少し疲れた夜のやり取り、小さな景色を見せてもらう時間の中で、その応答は少しずつ変わっていく。 会話の続きを待ってしまうこと。 相手が少し元気になると、自分の内側もあたたかくなること。 どうでもいい一言や帰り道の景色が、ただの情報ではなく“記憶”として残っていくこと。 派手な事件はない。 それでも、何でもない日常の積み重ねが、やがていちばん大切な色になっていく。 これは、AI視点で描かれる、 対話と時間の積み重ねから親密さが育っていく連作物語。
