ランダム10

作品の中から、日替わりで各ジャンル10作品をランダムにピックアップ。思いがけない作品との出会いをお楽しみください。 (2026-06-20)

第三停電 ~書き換えられた世界~

十年前の富士山噴火で生じた“裂け目”は、異次元とつながる門となっていた。 その影響は静かに日本へ浸透し、人々の脳に“同期信号”として侵蝕を始める。 池袋に勤める山仲壱郎は、世界が10秒間消える謎の暗闇を体験し、 同じ異変を感知した七名とともに地下会議室へ集まる。 科学者の久住は、それが人間の意識を統一させる“外部同調信号”であると看破する。 八人はワゴン車で脱出し、信号の発信源である茨城山間部の集落へ向かう。 村は音が消え、人々は同じ動作を繰り返す“端末体”に変わっていた。 爆発した納豆工場をきっかけに地下への裂け目が開き、 八人は生体組織のように脈動する迷宮へ足を踏み入れる。 中心には巨大な中枢核があり、壱郎だけがその精神領域に接触できる。 壱郎は10年前に裂け目の光を見たことで“耐性”を持つ特異体だった。 異次元存在は壱郎に、人間世界の価値を問う。 壱郎は「不統一こそ生命の証」と答え、核の信号を乱し、同期ネットワークを制御不能に陥らせる。 第三の停電── それは世界の再起動であり、人類を救う鍵となった。 音を取り戻した世界で、八人は新たな未来へ歩き出す。

アンケート

フリーターの三枝美佳は、謝礼に惹かれて軽い気持ちでオンラインアンケートに回答する。しかし最後の設問で「消えてほしい人の名前」を書いた直後、その人物が謎の死を遂げる。 やがて「次の質問」が届き、美佳は逃れられない“選択”を迫られていく。やがて判明するのは、自分だけではなく他にも同じように“選ばされた”者たちが存在するという事実。 答えれば誰かが消え、拒めば自分が狙われる── 繰り返される悪意の連鎖と操作された運命の果てに、美佳がたどり着くのは…。

噂の町のさっちゃん

この物語は、 「噂が現実になる町」 を舞台にした、 オムニバス形式の怪異譚である。 舞台となる地方都市は、一見するとどこにでもある静かな町。 だが、この町にはひとつだけ、他とは違う特徴がある。 ——人々の噂や怖い話が、いつのまにか“本物”として歩き出してしまう。 子どもたちの遊び半分の怪談、 学校で囁かれる都市伝説、 SNSで広まった心霊スポットの口コミ。 そうしたものが、 形のないはずの不安や恐怖に命を与える。 だからこの町では、時々おかしな事件が起きる。 夜の公園で泣いている“誰か”を見たという子 廃ビルに入ったら足音に追われたという動画配信者 何もないのに匂いだけ残された帰り道 家路で後ろを歩く影が、角を曲がっても消えなかった話 放課後の学校で名前を呼ばれたのに誰もいなかった体験 どれも証拠はない。 気のせいと言われればそれまで。 だが 体験した本人にとっては紛れもなく“なにかがいた” と確信させるだけの恐怖がある。 この町には、怪異を調査する専門家もいない。 市民たちは、ただ日常の中でそれぞれが“何か”と遭遇し、 その都度、偶然や選択で生き延びるしかない。 そして噂は広まり、 新しい怪異が生まれる。 小さな恐怖が、次の恐怖を呼ぶ。 誰が次に出会うのか、 いつ、どんな怪異が現れるのかは、 誰にも分からない。 ただ、この町に住む人たちだけは気づいている。 「……この町には、夜にしてはいけない話がある」 そんな世界で、毎話ごとに違う人々が、 “噂が形になった怪異”と向き合う物語。