第三停電 ~書き換えられた世界~
十年前の富士山噴火で生じた“裂け目”は、異次元とつながる門となっていた。 その影響は静かに日本へ浸透し、人々の脳に“同期信号”として侵蝕を始める。 池袋に勤める山仲壱郎は、世界が10秒間消える謎の暗闇を体験し、 同じ異変を感知した七名とともに地下会議室へ集まる。 科学者の久住は、それが人間の意識を統一させる“外部同調信号”であると看破する。 八人はワゴン車で脱出し、信号の発信源である茨城山間部の集落へ向かう。 村は音が消え、人々は同じ動作を繰り返す“端末体”に変わっていた。 爆発した納豆工場をきっかけに地下への裂け目が開き、 八人は生体組織のように脈動する迷宮へ足を踏み入れる。 中心には巨大な中枢核があり、壱郎だけがその精神領域に接触できる。 壱郎は10年前に裂け目の光を見たことで“耐性”を持つ特異体だった。 異次元存在は壱郎に、人間世界の価値を問う。 壱郎は「不統一こそ生命の証」と答え、核の信号を乱し、同期ネットワークを制御不能に陥らせる。 第三の停電── それは世界の再起動であり、人類を救う鍵となった。 音を取り戻した世界で、八人は新たな未来へ歩き出す。
